子育てコラム

子どもの英語教育いつからはじめる?早い方がいい?言語習得の臨界期仮説とは?

幼児英語
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今回は英語教育をいつからはじめるべきなのかという疑問を、言語習得の臨界期仮説から考えていきたいと思います。

なぜこんなことを調べているのかというと、我が家の小6長女は現在幼稚園の年中から幼児英語教室に通っており、英語に対しての不安は今のところありません。

ですが、小2長男はまだ英語にあまり関心がなく、これから始まる英語教育に今からで間に合うのかという不安があるからなのです。

英語教育って早ければは早いほどいいの?

早期英語教育をしてこなかったけど今から間に合うの?

など私と同じ不安がある方に向けて、英語教育のスタートラインについて考えていきたいと思います。

小学校3年生から英語教育が必修化される

今学校では英語教育が小学校3年生から必修化されています。

今回の改訂では,小学校中学年に新たに外国語活動を導入し,三つの資質・
能力の下で,英語の目標として「聞くこと」,「話すこと[やり取り]」,「話
すこと[発表]」の三つの領域
を設定し,音声面を中心とした外国語を用い
たコミュニケーションを図る素地となる資質・能力を育成
した上で,高学年
において「読むこと」,「書くこと」を加えた教科として外国語科を導入し,
五つの領域の言語活動を通じて,コミュニケーションを図る基礎となる資
質・能力を育成することとしている。

文部科学省【外国語活動・外国語編】小学校学習指導要領

文部科学省の小学校外国語指導要領を見ると、学校における中学年の外国語教育の目標

聞くこと

話すこと【やりとり】

話すこと【発表】

の3つの能力を育成することに今重点が置かれているようです。

では、これらの能力はいつから育成すべきなのでしょうか?

小学校3年生からの英語教育に私たちは間に合うのでしょうか?

逃がしたらもう終わり? 臨界期仮説の新常識

重要なポイント

英語習得の臨界期とは?

英語教育における臨界期仮説とは簡単に言うと、

ある一定の年齢を過ぎるともう言語を習得できない 

早期英語教育を行わなければ英語は身につかない

という仮説です。

言語習得の臨界期仮説は、動物の行動学(刷り込み現象)を人間に応用した実験で、神経学者のペンフィールドとロバーツ、レネバーグにより提唱されました。

人間の脳には学習するのに適切な時期があり、その時期を過ぎると学習が困難になる

というこの仮説が「言語学習の開始は早ければ早い方がよい」という早期英語教育の理由付けになっているのです。

しかしここで押さえておきたいのは、この理論自体は

第一言語(母語)の習得に関して提唱された仮説である

という点です。

この仮説はのちに第二言語習得についてまで話は広がっていますが、臨床データが不十分だとして提唱者の中でも意見が分かれています。

※ペンフィールド、ロバーツは第二言語の指導も4歳から10歳までの間に開始するべきだと主張していますが、レネバーグは否定的な意見です。

※ジョンソンとニューポートによる第二言語習得の解釈もあります。

※参考文献「英語学習は早いほど良いのか」バトラー後藤裕子

敏感期とは

もう一つ「臨界期」と一緒に議論されるのが「敏感期」という言葉です。

敏感期とは、発達に必要な刺激の欠如または不足に対して器官が敏感になる期間のことを言います。

「臨界期」は刺激する時期を過ぎると学習が困難になるという期間ですが、「敏感期」とは必要な時期に必要な刺激がなされなかったため学習が困難になったという期間になります。

英語教育で言うと

英語のインプットを受けるべき時期に受けるべきインプットがなされないと手遅れになってしまう

という考え方です。

色々な説はありますが、「臨界期」とは違い、「敏感期」は時期を逃してもまた後に修復が不可能ではないという点で、「臨界期」よりもチャンスが広がっている点で、今も多く研究が行われています。

英語教育における言語能力とは何か

もう一つの前提条件として議論されるべきなのは、英語における言語能力とは何かという点です。

みなさんは何をもって英語が習得できたと言いますか?

  • 外国人と日常会話がスラスラできること
  • 発音がネイティブ並みに良いこと
  • 英語の単語をたくさん知っていること
  • 自分の考えや主張を堂々と英語で述べることが出来ること
  • 英語の文章がスラスラ読めること

私が今思いついたものを挙げてみました。

ここで気づかれた方もいると思いますが、英語の言語能力には、「話す・聞く・読む・書く」などの能力はもちろん、コミュニケーションや文法の理解などたくさんの要素が関わっています。

どの能力をもって英語習得が出来たのかと一言で決めることはできません。

臨界期は複数ある?

英語の言語能力には様々な分野がありますが、今それぞれの分野で臨界期の時期が異なっていることが研究で分かってきています。(※グラネナとロングのスペイン語の実験など)

発音は5歳あたり、語彙は9歳あたり、統語・形態素(文法)は12歳がそれぞれの臨界期にあたるという研究があります。

これらの研究も一つの仮説はなりますが、耳からの英語取得からはじめ、少しずつ語彙を増やしていき、文法的な考え方を後に学んでいくべきだという、英語教育の流れは一つ見えてきたのかなと思います。

なので、実は幼児英語教室に8年通っている長女が文法や書くことが苦手な点が私は気になっていましたが、これらの学びはこれから始まっていくのかなとこの研究から感じました。

英語教育は何歳からはじめるべきなのか

では、結局英語教育は何歳から始めるべきなのでしょうか?

様々な研究を調べる中で、実は研究のデータ不足や前提条件のあいまいさが指摘された研究もいくつかあり、英語教育をいつからはじめるべきなのかという答えはまだはっきりと出ていないというのが現状のようです。

しかし、色々な研究を調べた著者の方や、自分のお子さんの英語教育を進めておられる方などの意見は、私たちに一つの答えを教えてくれると思います。

いくつかの本の著者の考え方を載せますので、お子さんの英語教育の始まりの参考にしていただけるとうれしいです☆

「英語学習は早いほど良いのか」バトラー後藤裕子

ある一定の時期を臨界期と特定するのは難しいが、年齢が他の要因と複雑かつダイナミックな相互作用を繰り広げているのだと提案したい。

一番大切なことは、いろいろな脳機能は、それぞれの発達段階において、その時点でのさまざまな内的・外的要因の影響を受けながら、常に自らを新しい環境に適応するように変化している

つまり、脳科学的に年齢と英語学習に関係があるとする研究データがあるとしても、様々な要因が関わっているのではっきり臨界期を決めることはできないという立場でのお考えです。

大人になってから英語をネイティブなみに習得された事例もいくつか挙げられ、英語を習得できたポイントなども載せてあります。

少し、学術的な話が多いですが、参考になることが多い本です!

「世界最高の子ども英語」斎藤 淳

臨界期は仮説にすぎないという考えはバトラーさんと一致しています。

でも、バイリンガルの娘さんたちの様子やバイリンガル研究に触れられ、心理的ハードルの低いうちに楽しく英語に触れることの大切さや英語学習を通して論理力などの別の力が鍛えられることなどの多くのメリットから、子どもに英語教育を始めることの大切さを伝えておられます。

こちらの本は読みやすく、英語に楽しく触れられる具体的な方法も書かれているので、子ども英語の始め方の参考にぜひ☆

「0歳から始める!英語絵本音読メソッド」小林妙子

0歳から英語を毎日かけ流している娘さんの英語教育についてまとめておられる本です。

筆者の方は、9歳までにスタートするのがいいと言われています。

「会話力」や「英語の楽しさ」を後の「英語学習」につなげていける子どもたちが多いことが理由の一つなのだそうです。

この本は、オススメの英語絵本がいくつか紹介されているだけでなく、年齢ごとにどのようなアプローチで英語絵本を楽しめばよいかということが具体的に挙げられています。

英語絵本について気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。

英語に興味を持った時がはじめ時!

疑問がある

様々な研究や意見がありますが共通しているのは、いつ始めるかよりどれだけ英語を楽しんで続けられるかが一番大切なことだということです。

そのためには、お子さんが英語に興味を持った時が一番のはじめ時です!

お子さんが興味を持った時を逃さず、また英語の楽しさに触れる様々な機会・環境をぜひつくってあげてください☆

https://chii7394.com/early-english-picture-book/

※その他の参考文献

  • 「日本人はなぜ英語ができないのか」鈴木 孝夫 1999年7月19日
  • 「小学校英語のジレンマ」寺沢 拓敬 2020年2月20日

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